小林種苗のブログ - 2014-11

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2014-11

ゴールドラッシュ90新発売

スイートコーンのベストセラー「ゴールドラッシュ」シリーズの新品種

風で倒れにくく味もよい『ゴールドラッシュ90』の種子を発売

台風シーズンでも安心、耐暑性もあり抑制栽培もできる中晩生イエロータイプ

サカタのタネは、味のよさと強風での倒れにくさを兼ねそろえたスイートコーンのF1新品種『ゴールドラッシュ90』の種子を発売します。台風や春夏の異常気象下でも安心して育てることができ、生産現場の課題に応えられる画期的なスイートコーンです。

同品種は全国のスイートコーン大産地でトップシェア※1を持つ「ゴールドラッシュ」シリーズにラインアップされます。中晩生のイエロータイプ※2で、同シリーズ内でもしなびに強く、穂の先端まで実が入り先端不稔※3が少ないです。糖度は15~19度※4と甘みは強く、食味は極めてよいです。各種のスイートコーンの品種と比べて『ゴールドラッシュ90』に顕著な特徴が、地際の茎から〝タコ足〟状に太い気根※5を出し、土をつかむように根を張った草姿です。これにより台風などでの強風に対して極めて倒れにくくなっています。国内でのスイートコーンの栽培時期は、台風が接近・上陸する時期と重なりますが、一度、倒れてしまうと作業性が著しく落ちるほか、秀品率の低下や病害の原因にもなりかねません。こうした営農上の課題に対応でき、生産現場をサポートできる品種です。

リリース添付写真「ゴールドラッシュ90」
写真はスイートコーン新品種『ゴールドラッシュ90』の青果(左)と気根(右)

スイートコーンは春から夏にかけて市場に出回り、夏の定番野菜として高い人気があります。フルーツのように強い甘みを持つことなどから、近年は季節の売場の目玉となり、青果店や直売所には欠かせない野菜となっています。サカタのタネの「ゴールドラッシュ」シリーズは高品質なイエロータイプのスイートコーンで、「ゴールドラッシュ」「ゴールドラッシュ86」「ゴールドラッシュ88」の3品種があります。2004年の販売開始以来、さわやかな甘み、皮が極めて柔らかく残りが少ない後味のよさ、高発芽率、低温伸長性、先端までびっしりと実の入る実付きのよさなどが評価され、国内でのトップシェアを誇っています。今回発売する『ゴールドラッシュ90』は、こうしたシリーズの強みを踏襲した上で、倒れにくいというこれまでにない特徴を持っています。

トウモロコシは条件により茎の節から「気根」と呼ばれる根を生やすことが知られています。『ゴールドラッシュ90』はこの気根が〝タコ足〟のように非常に旺盛に生え、根を張ります。背丈が180㎝~200㎝程度まで伸びるスイートコーンは風の影響を受けやすい品目ですが、倒れてしまうと、1.収穫などの作業性が著しく低下する、2.根が切れて成長が鈍り、粒入りが悪くなるなど青果物の品質も悪くなる、3.病気の発生を助長する、4.機械を使った収穫ができなくなる―など営農上で数々のデメリットがあります。スイートコーンの国内での栽培時期は、日本に台風が接近・上陸する時期と重なるため、収量性や作業性の点から「倒れにくさ」は重要な要素となっています。なお『ゴールドラッシュ90』のように気根が伸び、倒れにくい品種はこれまでもありましたが、食味など青果の品質面で劣るという致命的な弱点がありました。そのため高食味を求める近年のスイートコーン市場ではほとんど使われていません。

『ゴールドラッシュ90』は、穂長は約30㎝、穂重は約410グラム、糖度は15~19度で、従来の「ゴールドラッシュ」シリーズと同等の青果が収穫できます。さら水分が蒸発し時間とともに粒がへこんでしまい、見た目をそこなう「しなび」に対しては、シリーズ中でも非常に強くなっています。出荷のメーンとなる2Lサイズにおいても先端不稔が少ないため、食味、棚持ちのよさ、秀品率などの面で市場での高い評価を期待できます。

栽培適性は中晩生のため播種から収穫までは90日程度です。一般地なら4月上旬から5月下旬に播種し、7月中旬から8月のお盆ごろに収穫する露地マルチ栽培の作型に向いています。(もしくは一般地から高冷涼地の露地マルチ栽培に最も適しています)。また耐暑性も高く夏まきで秋に出荷する抑制栽培にも対応できます。高温下でも穂の長さや重量など青果の品質が安定しやすいため、多くの方に安心して栽培していただくことができます。

同品種の開発には6年以上かかっており、九州から北海道まで全国的に試作を行ってきました。2012年の東海地方の試作では、生産者から「台風が接近したが、この品種だけが畑で倒れておらず、驚いた。食味も非常によい」と高い評価をいただいています。

※1 サカタのタネ推定。国内シェアはスイートコーン全体で約60%。

※2 イエロータイプ:粒のすべてが黄色のスイートコーンのこと。

※3 先端不稔:先端に実が入らない状態。先端不稔の幅が2㎝を超えると青果物の品質ランクが下がり生産者の収益性が悪くなる。

※4 サカタのタネ掛川総合研究センター調べ。糖度は栽培環境や出荷条件により変わる。

※5 気根:根の一種。支根ともいう。

※6 バイカラータイプ:稔実粒が黄色と白色の2色あるスイートコーンのこと。

ゴールドラッシュ90の販売ページはこちら 【2015年4月上旬から発送予定】

緑と赤紫のコントラストが美しい『紅法師』水菜を新発売

ポリフェノールの一種「アントシアニン」が従来のミズナの10倍以上!!
サラダや料理のアクセントにピッタリの大変珍しい赤紫ミズナ

タキイ種苗の機能性野菜「ファイトリッチ」シリーズ
『紅法師』を新発売

タキイ種苗は、2014年度の新品種として、サラダや料理のアクセントにぴったりの赤紫色のミズナ『紅法師』を新発売いたします。

近年、健康によい野菜を手軽にまた簡単に摂取できるサラダは、家庭での調理はもちろん、ス-パ-やコンビニをはじめ、様々な所で販売・提案されています。レタスやキャベツといった品目に加えて、シャキシャキした食感と切れ込みの多い葉形が特長のミズナは、サラダに欠かせない食材として定番の品目です。
一方で、サラダのアクセントとなる赤や紫色の葉物野菜は、ビ-ツやリ-フレタスなどがあるものの、まだまだ種類が少ないのが現状です。そのため、ミズナの食感や食味を活かし、軸の部分が赤紫色の「サラダに向く新感覚のミズナ」をコンセプトに品種の育成に取り組みました。

今回新発売するミズナ『紅法師』は、軸が鮮やかな赤紫色に色づく特長を持ち、春・秋の露地栽培やハウス栽培では、葉の緑色と軸の赤紫色のコントラストが非常に鮮やかになります。一般に、赤紫色(アントシアニン)を含むアブラナ科の野菜は、加熱調理した際、色が抜け緑色になりやすいことが知られていますが、『紅法師』は比較的赤紫色の色抜けが遅く、短時間の加熱であれば紫色がほんのりと残ります。また、収穫サイズに関係なく、シャキシャキした食感とくせのない食味のよさが、サラダや料理のアクセントにぴったりです。
さらに『紅法師』には、ポリフェノ-ルの一種で動脈硬化予防や目の健康維持などに効能が期待されるアントシアニンが、従来のミズナに比べて10倍以上多く含まれています。『紅法師』 は、野菜の“機能性成分”と“おいしさ”にこだわった『ファイトリッチ』シリ-ズにも含まれています。また、用途や出荷形態に合わせて、ベビ-リ-フから青果規格まで幅広いサイズでの収穫が可能です。

タキイ種苗では今後、『紅法師』の彩りや高い機能性を活かし、生産者や健康志向の高い消費者に向けて販売促進していきたいと考えています。

紅法師の商品販売ページはこちら

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緑と赤紫のコントラストが美しいミズナ『紅法師』 サラダなど料理のアクセントにぴったり!

紅法師の商品販売ページはこちら

ホウレンソウ新品種『オシリス』の種子を生産者向けに販売

ホウレンソウのF1新品種『オシリス』の種子を生産者向けに発売 販売ページはこちら

秋まき用ホウレンソウをさらに栽培しやすく安定した低温伸長性、べと病※1R(レース)-1~10※2抵抗性※3を備え、作業性、収量性にも優れる

サカタのタネは、ホウレンソウのF1新品種『オシリス』の種子を発売します。『オシリス』は、気温に左右されにくい安定した低温伸長性が最大の特長です。夏の長期化や、集中豪雨などといった天候不順により、近年難しくなってきている秋まき年内出荷に適しています。また、べと病のR(レース)-1~10の抵抗性を付与させています。湿害にも比較的強いため葉が黄化しにくく、土質を選ばず栽培できます。草姿は立性※4で茎折れが少ないことから作業性に優れ、強健で収量性が高く、極濃緑の高品質の青果を収穫できるので、ホウレンソウ栽培が初めての生産者にもおすすめです。

ホウレンソウ「オシリス」
写真はホウレンソウのF1新品種『オシリス』の青果物

現在、ホウレンソウは周年にわたり広く栽培されていますが、本来、冷涼な気候を好むため秋まき栽培が最も適しています。しかし、2013年10月11日には東京都で統計開始以来最も遅い真夏日を、同年11月13日には群馬県で1978年以降最も早い真冬日を記録するなど、近年は夏が長期化し、秋は短く、すぐに冬が訪れるといった気象状況が続いています。そのため、ホウレンソウの秋まき栽培は、低温のため生育が遅れ気味になり、通常の作型である年内出荷がしにくくなっているという問題が生じてきています。あわせて、露地栽培においては台風や低気圧などにより集中豪雨に見舞われることで、葉が黄化して品質が低下したり、ひどい場合には青果を出荷できなくなるケースも増えてきていることから、耐湿性にも優れるホウレンソウが求められています。

また、ホウレンソウの重大病害であるべと病の病原菌は、「レース分化」(抵抗性遺伝子を打破する進化)が比較的早い糸状菌(カビ)で、国内ではR(レース)-8が最新レースとして公的に報告されています(2014年3月現在)。秋、春まきで発生しやすく、大きな減収要因にもなることから、同病害が問題になっている産地では、抵抗性品種の導入や薬剤による防除が必須となっています。

このような気候変動の影響と、べと病のレース分化に対応するために開発したのが『オシリス』です。特に開発に力を注いだのは、気温に左右されにくい安定した低温伸長性の実現です。これにより、秋まきでの計画的な生産出荷が可能になります。また、湿害による葉の黄化が出にくいので、水田の裏作などでも栽培できます。べと病のレース分化が激しいアメリカでも研究を行い、国内未発生のR-10を含むR-1~10の抵抗性を付与させています。
草姿は立性のため葉の絡みが少なく、茎折れしにくいので、作業性にも優れます。葉は光沢のある極濃緑色、平滑な剣葉で、葉先はややとがり、はっきりと欠刻(切れ込み)が入ります。このように『オシリス』は、生育強健で作業性と収量性に優れ、高品質な青果を収穫できることから、ホウレンソウ栽培が初めての生産者にもおすすめの品種です。

『オシリス』の播種の最適期は、寒地・寒冷地の9月中旬~10月上旬、温暖地・暖地の10月中旬~12月中旬です。早まきすると株が徒長しやすくなるので、播種時期を守ることが重要です。同品種を試作された生産者からは「寒い時期でも収量がとれる」「葉の色が濃くて品質がよい」などといった評価をいただいています。

なお、品種名の『オシリス』は、古代エジプト神話に登場する「植物の神」の名前から付けています。ホウレンソウの中でも特に主流の秋まき栽培において、同品種が確固たる地位を築いていってほしいとの期待を込めて命名したものです。

今後、環境変化によってもたらされる気象変動により、さまざまな農作物の栽培が難しさを増すなか、サカタのタネでは長年蓄積してきた膨大な植物遺伝資源、育種研究開発力を最大限に活用し、これからも産地のニーズに対応した品種を開発し、青果物の安定的な供給に寄与していきます。

※1 べと病:
糸状菌(カビ)の一種のべと病菌(Peronospora farinose)により葉に灰緑色~黄色の境界不明瞭な病斑ができ、これが葉全体に広がり淡黄色となり葉裏面に灰紫色のカビが生える植物病害。特にホウレンソウの秋および春まき栽培で被害が大きい。これは、べと病菌が平均気温15℃前後で曇天や雨が続くと発生しやすいことによる。

※2 R(レース):
病原菌の形態には差異はないが、病原性が異なる菌系統のこと。数種の標準抵抗性品種を抵抗性を侵す/侵さないという抵抗性/罹病性反応によりレースが決定される。それまで発病が認められない抵抗性品種を侵す病原系統が発生すると、それが新レースとなる。ホウレンソウのべと病は、国内ではR-3~8までの発生が公的に報告されている。

※3 抵抗性・耐病性:
当社では、発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくい安定したものを「抵抗性」と呼び、影響を受けやすいがその程度が軽く、収穫するうえではほとんど問題にならない性質を「耐病性」と呼んでいる。「抵抗性」としているものでも、条件やレ-ス分化などにより発病する恐れがある。

※4 立性(たちせい):
分枝や葉の着生角度が鈍角の形質を開張性というのに対し、鋭角のものを立性という。一般に立性の品種は、受光態勢がよく、より多くの葉に光を受けることができる。また、開張性に比べて立性は、株幅を狭くできるため、単位面積当たりの株数を増やすことができる。これらのことから、立性の品種の育成は多くの作物で目標とされる。

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