●特長
鮮やかな緑色で長さ14~15cm、幅1.5cmになる平莢でつるなし・スジなし種です。タネまき後55日前後で収穫できる極早生種です。
●栽培環境・土づくり
日当たりと風通しのよいところで栽培し、マメ科作物の連作は避けます。湿害に弱いので、水はけをよくします。霜にきわめて弱いので、早まきには育苗や保温が必要です。酸性土壌を嫌うので、植えつけ2週間以上前に苦土石灰を1㎡当たり100~150g施しておきます。1週間前までに完熟堆肥2~3kgと有機配合肥料80g程度を目安として施します。プランターでも栽培できます。
●タネまき・植えつけ
つるなし種のため、うね間50~60cm、株間20~25cmを標準とします。直まきする場合は、1か所に3~5粒の点まきをします。覆土は2cm程度とし、軽く手のひらで押さえます。覆土が浅いと皮かぶりになることがあります。育苗栽培では、発芽まで20~25℃を保ち、3~4号(9~12cm)ポリ鉢に3~4粒まきます。本葉が3枚くらいになるまでに1~2本立ちにします。
●管理のポイント
低温に弱いので、地温を確保してからタネまきや植えつけを行います。土壌水分や肥料が不足すると、莢が短くなったり曲がったりします。乾燥を防ぐために敷きワラと定期的な水やりが必要です。花が咲く前に支柱を立てるか、フラワーネットなどを利用して倒伏を防ぎます。追肥は、本葉が3~4枚になったころから化成肥料を2~3回、うね肩にバラまきで施し、軽く中耕して土寄せします。
●病害虫・生理障害
インゲンだけでなく、エダマメやソラマメなどマメ科作物の連作を避け、日当たりと風通しと水はけをよくし、炭そ病や根腐病などの病害を防ぎます。アブラムシは、葉の生育を阻害し、モザイク病を媒介するので、早期発見、早期防除に努めます。アブラムシは光るものを嫌う習性があるので、シルバーマルチをすると防除効果が期待できます。ハダニは乾燥で発生が多くなるので、敷きワラをするなどして畑を乾かさないようにします。
●収穫・保存・利用
開花後10~15日で収穫できます。つるなし種は収穫適期の幅が狭く、とり遅れると莢がかたくなるので、マメがふくらむ前に若取りします。収穫は朝の涼しいうちに行い、暑い日中は避けます。収穫したインゲンは日陰に置き、鮮度が低下しないようにします。ゆでて、おひたし、サラダ、バター炒めなどに利用します。煮物やてんぷら、スープの具にも利用できます。
■プロの方向け情報
莢がやわらかく、かたくなりにくい平莢インゲン
●特性
1.莢の形は平莢で、色は鮮緑色で、つるなしのスジなし品種です。
2.長さ14~15㎝。幅約1.5㎝。やわらかく、食味にすぐれます。
3.播種後55日前後で収穫できる極早生品種です。
●適応性
ハウス栽培から露地栽培のほか、パイプハウスを利用した抑制栽培までいずれの作型にも適します。ただし高温期は莢がつかなくなるので注意します。
●圃場の選定
土質はあまり選びませんが排水、保水のよい地力のあるところが最適です。過湿地では高畝にして、排水対策を立てます。乾燥地には堆肥を施して灌水し、酸性土壌は石灰で矯正して栽培します。
●圃場の準備
マメ科の野菜のなかでは肥料は多めに施したほうがよく、とくに開花後、莢が肥大するときに肥料切れすると、曲がり莢などの下物が多くなるので注意します。
早めに完熟堆肥と石灰を施し、深耕して通気性のよい土づくりをします。施肥量は前作や土壌条件によって異なりますが、10a当たり窒素12kg、リン酸20kg、カリ15kgを標準とします。
マルチ栽培は地温の確保、土壌水分の安定、泥はねによる莢の汚れを防ぎ、腐敗防止にも役立ちます。
●移植栽培
移植栽培はセル苗を利用すると管理、定植作業の労力を軽減できます。セルに肥料分の少ない軽めの土を用いて播種します。地温は23~25℃を目標に適湿にします。発芽後は換気をし、がっちりとした苗に育て上げ、初生葉が展開した段階のごく若苗で定植します。定植前は温度をやや低めに管理し、苗の順化を行います。株間は30cmを標準とし、極端な密植はさけるようにします。
●直播栽培
土壌病害虫が発生、加害されやすいですので防除に努めます。1穴3~4粒まきとし、本葉展開時に生育のよい株を1~2本残します。なお覆土は約3㎝とし、播種後に多雨が予想される場合はやや浅めに、覆土過多による酸素不足での発芽障害を防ぐようにします。
●一般管理
ハウスでは30℃以上にならないように換気に努めます。灌水は過湿にならない程度にとどめ、根腐れや過繁茂になることに注意します。追肥は開花時に行い、莢つきや肥大の促進をはかります。
●病害防除
病気では炭そ病、さび病、灰色かび病、菌核病が発生したり、害虫についてはアブラムシ、メイガ類、オンシツコナジラミ、ダニ類が発生したりするので、いずれも早期防除を徹底します。
●収穫
莢の長さは14~15㎝で収穫します。収穫が遅れると倒伏してくるだけでなく、莢の品質も落ちてきますので、若莢の適期収穫に心がけます。収穫は高温期をさけ、朝夕の涼しいときに行い、病害虫に侵されたものは選別して取り除きます。