●特長
鮮やかな緑色で長さ15~17cm、幅1.5cmになる平莢のつるあり・スジなし種です。タネまき後、約58日ほどで収穫できる極早生種です。
●栽培環境・土づくり
植えつけの2週間前に1㎡当たり苦土石灰100~150g、1週間前に完熟堆肥2~3kg、有機配合肥料80~100gを施します。うね幅100cm、株間30~40cmを目安として畑をつくります。
●タネまき・植えつけ
1か所3~5粒ずつ点まきにします。本葉1~2枚のころに間引きし、2m程度の支柱を立てます。移植栽培の場合は、晴天で風が弱い日を選び、根鉢と植え穴に十分水やりして、浅植えにします。
●管理のポイント
追肥は収穫はじめから行い、花・莢がついてきたときや、収量が増加したときにおくれないようにします。乾燥時には葉面散布や液肥を与えます。梅雨後の高温、乾燥に備えて敷きワラをします。
●病害虫・生理障害
インゲンだけでなく、エダマメやソラマメなどマメ科作物の連作を避け、日当たりと風通しと水はけをよくし、炭そ病や根腐病などの病害を防ぎます。アブラムシは、葉の生育を阻害し、モザイク病を媒介するので、早期発見、早期防除に努めます。アブラムシは光るものを嫌う習性があるので、シルバーマルチをすると防除効果が期待できます。ハダニは乾燥で発生が多くなるので、敷きワラをするなどして畑を乾かさないようにします。
●収穫・保存・利用
莢がふくらみ、長さが15~17cmになったころが収穫適期です。収穫時に株を傷つけないことが良品多収につながります。盛期には収穫を朝夕2回行います。とり残すと株の負担が大きくなるので、適期に収穫します。タネまき後58日ほどでとれ始め、40~50日間続きます。収穫したインゲンは、鮮度が低下しないように日陰に置き、ポリフィルムなどで覆って水分の蒸散を防ぎます。
■プロの方向け情報
収量性・夏場のスタミナ抜群の平莢つるありインゲン
●特性
1.莢の形は平莢で、色は鮮緑色で、つるありのスジなし品種です。
2.長さ15~17㎝。幅約1.8㎝。やわらかく、食味にすぐれます。
3.播種後58日前後で収穫できる極早生品種です。
●適応性
ハウス栽培から露地栽培のほか、パイプハウスを利用した抑制栽培までいずれの作型にも適します。ただし高温期は莢がつかなくなるので注意します。
●圃場の選定
土質はあまり選びませんが排水、保水のよい地力のあるところが最適です。過湿地では高畝にして、排水対策を立てます。乾燥地には堆肥を施して灌水し、酸性土壌は石灰で矯正して栽培します。
●圃場の準備
マメ科の野菜のなかでは肥料は多めに施したほうがよく、とくに開花後、莢が肥大するときに肥料切れすると、曲がり莢などの下物が多くなるので注意します。
早めに完熟堆肥と石灰を施し、深耕して通気性のよい土づくりをします。施肥量は前作や土壌条件によって異なりますが、10a当たり窒素12kg、リン酸20kg、カリ15kgを標準とします。
マルチ栽培は地温の確保、土壌水分の安定、泥はねによる莢の汚れを防ぎ、腐敗防止にも役立ちます。
●移植栽培
移植栽培はセル苗を利用すると管理、定植作業の労力を軽減できます。セルに肥料分の少ない軽めの土を用いて播種します。地温は23~25℃を目標に適湿にします。発芽後は換気をし、がっちりとした苗に育て上げ、初生葉が展開した段階のごく若苗で定植します。定植前は温度をやや低めに管理し、苗の順化を行います。株間は30~40㎝を標準とし、極端な密植はさけるようにします。
●直播栽培
土壌病害虫が発生、加害されやすいので防除に努めます。1穴3~4粒まきとし、本葉展開時に生育のよい株を1本残します。なお覆土は約3cmとし、播種後に多雨が予想される場合はやや浅めに、覆土過多による酸素不足での発芽障害を防ぐようにします。
●一般管理
ハウスでは30℃以上にならないように換気に努めます。灌水は過湿にならない程度にとどめ、根腐や過繁茂にならないように注意します。つるの伸び始めに、支柱を立てて、つるを傷めないように誘引します。摘葉は老化、病害虫被害葉を中心に行い、過繁茂に気をつけます。追肥は開花時に1回目を施し、生育状況に応じ7~10日ごとに施し、同時に灌水を行い、株の着莢負担力をつけます。
●病害防除
病気では炭そ病、さび病、灰色かび病、菌核病が発生したり、害虫についてはアブラムシ、メイガ類、オンシツコナジラミ、ダニ類が発生したりするので、いずれも早期防除を徹底します。
●収穫
莢の長さは15~17㎝で収穫します。収穫が遅れると樹への負担が増え、莢の品質も落ちてきますので、若莢の適期収穫に心がけます。収穫は高温期をさけ、朝夕の涼しいときに行い、病害虫に侵されたものは選別して取り除きます。