●特長
トウ立ちが遅く、秋まき早春どりに適する青首ダイコンです。葉の色が濃く、つまり型でとても寒さに強く、暖かい地域では冬の露地栽培ができます。外観、肉質ともに秋ダイコンに近く、品質がすぐれています。
●栽培環境・土づくり
できるだけ耕土が深く、水はけのよい畑を選びます。タネまき予定の2週間ほど前に1㎡当たり苦土石灰約100g、完熟堆肥約2kgと有機配合肥料約80gを目安として畑に施し、30cmほどの深さに耕します。未熟な堆肥をタネまき直前に与えると根が変形するので注意します。根をスムーズに伸ばすために、石や雑草の根などをとり除きます。また、水はけの悪い畑を利用する場合は、高うね栽培をおすすめします。
●タネまき・植えつけ
条間45~60cm、株間20~30cmを目安として3cmほどの穴をあけ、1か所にタネを3~5粒ずつまき、厚さ1~2cmほどに覆土します。間引きは本葉が5~6枚ごろまでに行い、1本立ちにします。
●管理のポイント
追肥は間引き後、株の周りに速効性の化成肥料2握り程度をうねの肩に交互に施します。そのとき、軽く耕しながら株元に土寄せし、風で株が回されないようにします。また、栽培期間が長いので、肥料切れを起こさないように、本格的に寒くなる前の12月にも追肥を行い、葉を丈夫につくります。霜が降り始めたら、不織布のべたがけを行なうとよりいっそう丈夫に育ちます。
●病害虫・生理障害
アブラナ科作物の連作や窒素過多を避け、軟腐病や白さび病などの病害を発生させないようにします。ネキリムシ、コナガ、アブラムシなどの防除を早めに行ないます。また、アブラムシは葉に群生して生育を阻害し、モザイク病を媒介するので、早期発見、早期防除に努めます。根の表面に小さな病斑ができるのはセンチュウの寄生によるもので、マリーゴールドなどの忌避作物を栽培して防除します。
●収穫・保存・利用
根が地上に抜き上がってきて、種まき後90日を過ぎて、長さ37cm、太さ7cm、重さ1~1.2kgになると収穫適期です。収穫が遅れるとスが入り、品質が落ちますので注意して下さい。
■プロの方向け情報
2~3月どり、暖地露地越冬用の青首ダイコン
●特性
1. 晩抽系の青首ダイコンであり、品質、外観とも秋系大根にちかく、ス入りも遅い。3月下旬くらいまでは抽だいの心配なく収穫できます。
2. やや黒葉のつまり葉、とくに耐寒性が強く、暖地無霜地帯での密植型露地越冬栽培および温暖地の霜よけトンネル栽培に最適です。
3. 根部は根長37㎝、根径7㎝で肌にテリがあり、尻部の肉づきがよいです。
4. 首部内部の青肉になりにくいです。
●適応性
とくに暖地無霜地帯の露地越冬栽培に向いており、この作型では10a当たり10,000本以上の密植栽培になります。播種は9月下~10月中旬で、収穫が2月上~3月中旬となる。
また温暖地の霜よけトンネル栽培は9月下~10月中旬に播種し、途中12月に入って霜が降りるころにすそ換気の霜よけトンネルをかけます。収穫は1月中~2月下旬となり、秋ダイコンと春ダイコンのつなぎ役となります。
●播種
畝間45~50㎝、株間20㎝ぐらいの1条畝が標準となり、極密植栽培になります。
●施肥
堆廐肥は前作のときに入れておきます。十分分解させないと岐根の原因となるので注意します。苦土石灰は10a当たり60㎏を全面に散布し、耕起しておきます。肥料は成分量で10a当たり窒素10㎏、リン酸13㎏、カリ10㎏を標準とし、元肥として全面に施します。露地越冬栽培の場合、生育途中の12月と2月ごろに2回追肥をします。追肥の量は1回当たり窒素3㎏、カリ3㎏とします。
●管理
〔暖地露地越冬栽培〕
この栽培は極密植することによりお互いの葉が重なりあい寒害を防いでいます。また生育期間が長く、肥料切れを起こしやすいので注意します。
寒くなる前の12月に追肥をし、葉を丈夫
につくり、気温上昇期前の2月には根や葉の生育を促進するために追肥を行います。
また、生育途中の厳寒期には光線透過率のよい不織布などをべたがけにすると葉の傷みが少なくなり、よりよい品物が生産できます。
〔一般地霜よけトンネル栽培〕
この栽培は年内のうちに8割くらいの生育をさせ、いかに凍害から守るかがポイントです。霜よけトンネルはベッドの高さ(15㎝くらい)に両すそを開放しておき、トンネル内が蒸れないように管理します。とくに厳寒期には外葉や首が凍害を受けやすいですので、寒いところでは不織布などをべたがけにしておくとよいです。本品種は耐寒性が強いのであまり囲いすぎると葉が軟弱になり、かえって寒害を受けることになるので注意します。マルチをすると肩こけの心配がありますので、露地で霜よけ栽培をするとよいです。
●収穫
いずれの作型でも播種から収穫まで120日以上かかります。形状としては根重1.0~1.2㎏で尻部に肉がついたのを目安にします。