●特長
トウ立ちがごく遅い青首総太り大根です。葉はやや黄葉でコンパクトにまとまり、低温期にとくに尻部の肉づきがよく、肌にテリがあります。ス入りは少なく、肉質がよく、食味がすぐれています。
●栽培環境・土づくり
できるだけ耕土が深く、水はけのよい畑を選びます。タネまき予定の2週間ほど前に1㎡当たり苦土石灰約100g、完熟堆肥約2kgと有機配合肥料約100gを目安として畑に施し、30cmほどの深さに耕します。未熟な堆肥をタネまき直前に与えると根が変形するので注意します。根をスムーズに伸ばすために、石や雑草の根などをとり除きます。また、水はけの悪い畑を利用する場合は、高うね栽培をおすすめします。
●タネまき・植えつけ
露地栽培の場合は、うね間50~60cm、株間25~30cmを目安として3cmほどの穴をあけ、1か所にタネを3~5粒ずつまき、厚さ1~2cmほどに覆土します。間引きは本葉が4~5枚ごろまでに行い、1本立ちにします。厳寒期栽培の場合は、トンネル・マルチ栽培をおすすめします。
●管理のポイント
追肥は間引き後、株の周りに速効性の化成肥料2握り程度をうねの肩に交互に施します。そのとき、軽く耕しながら株元に土寄せし、風で株が回されないようにします。トンネル・マルチ栽培の場合は、間引きまではトウ立ち防止のため、温度を高めに保ちます(最高気温30℃)。その後は20~25℃を目安に徐々に換気します。
●病害虫・生理障害
アブラナ科作物の連作や窒素過多を避け、軟腐病や白さび病などの病害を発生させないようにします。ネキリムシ、コナガ、アブラムシなどの防除を早めに行ないます。また、アブラムシは葉に群生して生育を阻害し、モザイク病を媒介するので、早期発見、早期防除に努めます。根の表面に小さな病斑ができるのはセンチュウの寄生によるもので、マリーゴールドなどの忌避作物を栽培して防除します。
●収穫・保存・利用
根が地上に抜き上がってきて、長さ37cm、太さ6~7cm、重さ1~1.2kgになると収穫適期です。温度が上昇してくる時期なので、太りが早くなってきます。適期に収穫します。収穫が遅れるとスが入り、トウ立ちするので注意します。
■プロの方向け情報
肉質極良の極晩抽系青首ダイコン
●品種の特性
1. 極晩抽の青首総太りダイコンです。
2. 低温時でも根の伸びがよく根長33~35㎝になり、肌にテリがあり青首が鮮明でそろいがよいです。春のマルチ栽培時でも根長38㎝ほどで極端に長根にはなりません。
3. 草姿はやや黄葉の立性・中葉でスッキリしているので管理しやすいです。
●適作型
温暖地では12月上旬~4月上旬まきマルチ・トンネル栽培、暖地無霜地帯では9月末~10月中旬まき露地越冬栽培、冷涼地では3月中~4月下旬まきマルチ・トンネル栽培と4月末~6月上旬まきマルチ栽培に適します。
●温暖地トンネル栽培 播種
条間30㎝×株間27㎝の3条まきが適します。この場合地温確保と排水を考えて20㎝程度の高畝にします。播種床の上部はかるく鎮圧しておくと発芽がそろい、岐根も少なくなります。
●温暖地トンネル栽培 施肥
12月まきの場合、低温で肥効が悪いので10a当たり窒素10㎏、リン酸15㎏、カリ10㎏を標準とし、年明けまきの場合は地温が上昇し肥料も効きやすくなるので、窒素7㎏、リン酸10㎏、カリ7㎏を標準とします。
●温暖地トンネル栽培 管理
トンネル栽培の場合、冬まきと早春まきでは管理の時期は若干ずれますが、栽培のポイントは3点に要約されます。
第1点は、播種から間引き(本葉5枚程度)まではトンネル内温度が32℃を上限の目安として十分保温し、花芽の分化をできるだけ遅らせます。
第2点は、生育中期にならしを行います。トンネルの両裾を10㎝ほど開放して、自然に外気が出入りできるようにします。ただし12月まきの場合、間引き作業が1月中旬~2月上旬の厳寒期に当たるため、寒害を受けやすくなるので、間引き前後には不繊布などの保温材をべたがけにし、株がしっかりするまで防寒をし、その後にならしを行います。
第3点は、生育後期、収穫直前になればできるだけ早くトンネルをはずし、外葉の伸びすぎを防ぎます。外葉が詰まってしっかりできていれば、マルチ表面に光が当たり、地温が上昇し根部の生育が順調にすすみ尻部の肉づきもよくなります。
●暖地露地越冬栽培
この栽培では密植が多く生育期間も長いです。したがって肥料を順調に効かせることが一番大切です。12月末、2月はじめとこまめに追肥を行います。また若干寒い場所での栽培では不織布などをべたがけにして、葉、首の寒害を防ぐことが大切です。
●寒冷地栽培
この品種は寒い時期の栽培のほうがよい形状にできるので、早い播種期に使うのがよいです。5月後半からの播種では、若干長形になります。また5月末~6月上旬の播種では、一般に黒芯などの生理障害が出やすいですので、微量要素を十分施し地温の上昇も防ぐように工夫します。