●特長
金町系小カブの極早生種で、春のトンネル栽培や夏まきに適した暑さに強い品種です。葉は小さめで草丈が伸びすぎず、形のよい腰高球で光沢があり、ス入りや裂根がほとんどありません。
●栽培環境・土づくり
地力の低下は病気、障害の発生につながり、品質低下の原因となります。完熟堆肥やバイオエースなどの有機質肥料を積極的に施して土づくりをします。植えつけの2週間前に1㎡当たり苦土石灰100g、有機配合肥料100g(春、夏は少なめに)を目安として施します。完熟堆肥は前作に入れておきます。
●タネまき・植えつけ
条間、株間とも12~15cmが標準です。高温時は広めにとり、通気をよくすることで徒長や病気を抑えます。深さ1cmくらいで1か所に3~5粒タネまきします。本葉が3枚くらいになるまでに間引きます。水やりにむらがあると発芽がそろわず生育が不ぞろいになります。
●管理のポイント
間引きと同時に中耕と土寄せを行います。中耕と土寄せの目的は、除草、根部に酸素を供給して生長を促すこと、株元を固定して強風によって回されないようにすることなどです。根の肥大期に乾燥させると、裂根の原因になります。栽培期間が短い割には多肥を好むので、間引き後に液肥か化成肥料をうねの両側へ交互に施します。
●病害虫・生理障害
とくに害虫が問題となる高温期は、生育期間が短く、農薬は残留する可能性があります。コナガ、アブラムシなどの害虫は、寒冷紗などのトンネル被覆を行い、物理的に防除します。農薬を使用する際はラベルをよく読み、間違いのないようにします。
●収穫・保存・利用
夏まきで25日、春・秋まきで40日、冬まきで70日前後が収穫の目安です。根径5~7cmで収穫します。高温期の栽培では、早朝収穫を行うようにします。収穫遅れは品質の低下につながるので注意します。数回に分けてタネまきすると長い間収穫することができます。
■プロの方向け情報
春のトンネル、夏まき栽培に最適! 早太り、そろいよく、寒冷地にも好評
●特性
1、金町系の一代交配種で極早生、早太り性抜群で、玉割れがほとんど出ません。そろいがとくによく、生育不良がきわめて少ないです。
2、玉は純白で光沢あり、肌が美しいです。
3、肉質はち密で、食味は良好です。
4、草姿はやや小形で、葉色はやや濃いです。小葉で草丈もあまり伸びず、葉数11~12枚で葉軸は中くらいです。
5、べと病やウイルス病などへの耐病性もかなり強いです。
●適応性
本種は早どり用極早生種で適応作型が広いです。耐暑性強く、高温下でも葉伸びせず肥大がよく尻のまとまりがよいため、7月下旬からの夏まき栽培や、秋まき栽培に適します。また、抽だい性も相当安定し、低温下での肥大が早いので、1月下旬からのトンネル栽培や、その後の露地栽培、寒冷地の春~夏まき栽培に最も適します。このほか10月まきのトンネルやハウス栽培にも適します。
土壌に対する適応性も広く、排水に注意し腐熟有機質を施せば、ほとんどどこでも栽培できます。
●圃場
できるだけ早めに、しかも土は十分細かくロータリーで耕しておきます。前作物の根など有機質がよく腐っていなかったり、土塊が多かったりすると、岐根の発生や玉肌が汚くなりやすいです。
●肥料
極早生で生育日数が短いため、元肥主体として、他の早生品種より1~2割多肥とします。こうすると一段と早生性、肥大性が高まり、よいものを収穫できます。
10a当たりおよその成分量は、窒素15kg、リン酸15kg、カリ15kg、苦土石灰100kgで、高温期の栽培では窒素を減量し、低温期は増量します。
苦土石灰や石灰窒素はとくに早めに施用して酸度調整を行い、堆肥は前作に十分施しておくか、完熟したものを早めに施用します。肥料は、播種1週間以上前に全面散布し、よく耕して土になじませておきます。
●播種
播種量は10a当たり6~10dlです。畝幅120~150cmのベッドをつくり、12~15cmの条まきが普通です。
乾燥期には降雨後か、十分な灌水を行ってから播種します。十分な湿りのない場合は、覆土後、鎮圧をしっかり行って発芽をそろえます。多湿時には排水に十分注意します。
●間引き
生育が早いから、遅れないよう子葉が展開したら込んでいるところを間引き、本葉2~3枚までに株間12~15cmに1本立ちとします。
最も注意する点は、他品種より株間を広くすることで、とくにベッド栽培では12cm以上の作条、株間がほしいです。
密植の間引き収穫栽培では、3回目以降の収穫カブは葉数が不足して細軸となり、商品価値がおちます。株間が広いとそろって肥大し、クズが極端に少なく、市場性の高い良品を一斉に収穫でき、収益、作業能率もよいです。
●病害虫防除
とくに高温期に発生の多いウイルス病や、純白の玉肌を汚く食害して商品価値を落とすキスジノミハムシの幼虫の防除には、土壌処理は欠かせません。
コナガ、アオムシ、ヨトウムシなどの害虫やべと病、白斑病には適切な薬剤を適量、早期から定期的に散布して予防します。