●特長
莢は肉厚でやわらかく、甘みは強く、独特の風味があっておいしいエンドウです。草丈は80cmほど、寒さに強く、生育旺盛でとてもつくりやすい早生種です。
●栽培環境・土づくり
連作障害に弱い代表的作物なので、少なくても3~4年はエンドウを栽培したことのない畑を選びます。タネまきの2週間ほど前に1㎡当たり苦土石灰120g程度、1週間ほど前に完熟堆肥2~3kg、有機配合肥料50~100gを施します。うね幅100~120cm、株間25cmを目安として畑をつくります。
●タネまき・植えつけ
株間25cm程度でタネを3粒ずつ点まきします。秋まきは寒さで欠株を生じやすいので、本葉が2枚くらいの小苗で越冬させるよう遅まきし、株元が凍らないようモミガラなどで防寒します。春まきは、平坦地ではできるだけ早くまき、暑くなるまでに多収するようにします。大きめのプランターでの栽培は株間20cmで1本立ちにします。育苗することもできますが、移植を嫌うので、植え傷みしないように大きめなポットを用い、本葉が2枚までの小苗で植えつけます。
●管理のポイント
エンドウは気温が高くなると急速に枯れ上がるので、収穫を長くするために適期にタネまきします。つるなし品種ですが、草丈が伸びてきたら1mほどの支柱を立て、テープで誘引します。莢つきが早く、莢を次々と収穫するので、追肥は遅れないようにします。肥料が不足すると莢の色つやが悪くなって、収量も上がりません。土壌が乾燥しているときは、水やりの効果が高いです。
●病害虫・生理障害
エンドウだけでなく、ソラマメやインゲンなどマメ科作物の連作を避け、日当たり、風通し、水はけをよくし、うどんこ病や褐斑病などの病害を防ぎます。アブラムシは、葉の生育を阻害し、モザイク病を媒介するので、早期発見、早期防除に努めます。アブラムシは光るものを嫌う習性があるので、シルバーマルチをすると防除効果が期待できます。ハモグリバエ(エカキムシ)の被害葉は摘みとり、持ち出し処分します。
●収穫・保存・利用
グリーンピースのように粒が肥大して、莢がまだ鮮緑色で外観のよいときに収穫します。長さ7.5cm、幅1.5cmくらいが目安です。莢は肉厚で甘みがあり、おいしいです。莢についているヘタとスジをとってから、莢ごとゆでて利用します。
■プロの方向け情報
耐湿、耐寒性強。丈夫でつくりやすい つるなしスナック
●特性
1. 「スナック」と在来の白花つるなし種との交雑により育成したわい性種です。「スナック」より耐湿性があり、寒さにも相当強く丈夫で栽培しやすいです。発育旺盛なつるなしの多収種です。
2. 草丈は70~80㎝(冷涼地や暖地のハウス栽培では100㎝以上)です。株元の分枝は秋まきで4~5本、春まきで2~3本前後、節間つまり、がっちり育ちます。
3. 初花房の着生する高さは30㎝前後。熟期はつるなし「スナック1号」、「スナック2号」より5~7日遅く、「スナック」より7~10日程度早いです。花がらは落ちやすいです。花房は葉の外へ出るので収穫しやすいです。
4. 莢は「スナック」に比べ、長さは変わらないですが幅が1~2㎜広く、子実の肥大がよいので丸々とした莢となります。莢肉が厚くて甘みがあり、やわらかで、青実と一緒に利用します。
5. 「スナック」、「つるなしスナック2号」と一緒に栽培して、出荷期の幅を広げることができます。しかし、うどんこ病は発病するので防除が必要です。
●圃場の選定と肥料
エンドウは酸性土、排水不良地には不適で、また乾燥地ではつる伸びが悪く収量が上がりません。リン酸欠乏にも弱いです。耕土の深い、排水、保水のよい地力のある圃場を選び、一度エンドウを栽培した圃場は数年休みます。
10a当たり堆肥1,500㎏以上の他、成分で窒素10kg、リン酸15kg、カリ12kgを標準とし、リン酸は全量元肥に施します。莢の肥大に負担がかかるので開花が始まったら十分に肥料を効かせることが必要です。
●栽培距離
畝幅100㎝、株間は秋まき15~20㎝、春まき12~15㎝にとり、1か所2粒まきします。1リットル粒数2,800~3,000粒です。エンドウの発芽適温は18~20℃です。
●播種
秋まき(露地)は本葉2枚くらいの小苗で越冬させるよう遅まきし、株元が凍らないよう防寒します。
春まきは温暖地ではできるだけ早くまいて、暑くなるまでに収穫します。移植は嫌うので、育苗する場合は植え傷みしないよう大きめのポットを用いて、本葉2枚以内の小苗で定植します。
●間引きと支柱
秋まきして分枝が多くなり株間が狭い場合を除いて、一般には間引きをしません。
ハウス栽培では150㎝前後、一般地の露地栽培では70~80㎝程度の草丈になるので、これに見合った支柱(ネットなど)を立てて、ポリテープで誘引します。
●収穫、出荷
「グリーンピース」のように粒が肥大して、莢がまだ鮮緑色で外観のよいときに収穫します。過熟になると莢が白くなり、甘みもなくなって商品価値が落ちてしまいます。
涼しい時間に収穫して通気のよい容器で出荷します。保冷車で出荷した場合は品質が非常によいです。
●ハウス栽培
「スナック」はつるが伸びすぎ、「つるなしスナック2号」は条件がよくないとつるが伸びません。
「ホルンスナック」は適度につるが伸長して、相当に多収です。うどんこ病の防除は必要ですが、低温にも強いので冬から春にかけての出荷が期待できます。